たなかこういちの開発ノート

システム開発に携わる筆者が、あれこれアウトプットするブログ

アットウェア社@WeWork訪問

アットウェア社代表の牧野氏とは「よこはまクラウド勉強会」などを通して交流させていただいております。そのアットウェア社がWeWorkみなとみらいに入居しました。
 
アットウェア社: https://www.atware.co.jp/
 
私の勤務先でありますMonopos社でもちょうどオフィス戦略を検討中だったこともあり、WeWorkがどんなところかお話伺うべく、3月某日、へいしゃのVPoEと共に訪問させていただきました。
 
 
「そもそもWeWorkってなに?」という方は下記記事あたりを参照してみてください。
 
- "WeWorkの野望──「2兆円企業」が見通す働き方の未来", WIRED:
- "米国発「WeWork」が日本で狙うオフィス革命", 東洋経済:
 
本記事では、牧野氏からいただいたお話、WeWorkに関する各種ネット記事、VPoEとの会話、これらを見聞きした後の、筆者の現在理解をまとめます。
 
◆注意◆
本記事は筆者の個人的な現在理解を記したものです。記載内容が事実と異なってしまっている場合があるかもしれません。また、所属先のMonopos社の見解等を表すものでもありません。
 
 
まずは二つの大きな関心事から。
 
費用
 
WeWorkの費用には、単純な賃料だけでなく、一般の管理費に相当するような費用、あるいは基本の光熱費、通信費、清掃費(水回りなどは共用部利用なので、入居者としてのメンテは不要)などが含まれます。加えて、共用の応接室や会議室の利用、共用のオープンスペースの利用、コーヒー飲み放題、「コミュニティマネージャー」人件費、なども含まれています。共用のオープンスペースや会議室は、ゲストを招いての勉強会開催などに便利に使えます。「共用施設が充実しているハイグレードマンションは、管理費は高いけど、それらの共用施設を使い倒すのであれば元は取れる」という話と同じ構図です。
 
そのように計算すると、費用感としては、近隣の同グレードの物件に普通に入居することと比較して、案外同レンジに収まるくらい、と捉えられそうです。
 
もう少し計算すると、初期費用が断然安い。ファシリティやインフラ敷設は考えなくていいので、何年で償却(?)すると考えるか次第ではありますが、TCO的にはむしろ安くなるケースもありそうです。
 
WeWorkは物件毎に費用設定がだいぶ異なっています。結局は当該エリアの一般の賃料相場には連動してるといえます。特にみなとみらい都内物件に比べると比較的廉価に設定されてる様子です。
 
"Elastic"なのか?
 
つまり、「プロジェクトの特定期間だけ増床して終わったらリリースするなどできるか」というと、「一応出来る。」
 
契約的には一ヶ月単位で増減できるそうです。例えば、当初30名相当分のエリアを契約して、ある月から40名相当分に増やし、三ヶ月後にまた30名相当分に戻すといった事ができるそうです。増やすときは、既存の30名相当分のスペースから、まるごと40名相当分のスペースに引っ越すこともできるし、30名相当分の既存スペースは継続しつつ、10名相当分のスペースを追加することもできます。
 
ただし、そのとき「空いていれば」、ということになります。みなとみらいは現時点では空きはあるとのことですが、例えばアークヒルズは一杯らしいです。
 
アットウェア社としての移転のねらい
 
アットウェア社は、WeWorkみなとみらい開設当初時点から移転を検討していたとのことです。元は近隣ビルに入居していましたが、以下のような考えやねらいから移転を決定したそうです。
 
・牧野氏自身として、WeWorkに関心を持った。
・費用面でトータルでのリバランスを図る機会だった。
・所属エンジニアの外部交流の機会を増やす。
 
2点目はどちらかというと結果論で、やはり3点目の可能性において1点目があるそうです。詳しくは、かつ正確には、下記の牧野氏によるブログ記事をご参照ください。
 
"Join WeWork", アットウェア社 BLOG:
 
WeWorkに入居するということ
 
お話を伺ったり、各種記事を読んで、WeWorkはそもそも「シェアオフィス」ではなく、「入居者同士のシナジー創造機会の増大、およびそういった未来志向性、オープン志向性が高いのだというブランディングツール」を売っている、と理解しました。次の記事では「リアルSNS」と表現しています。
 
"WeWorkはリアル版SNS", FUTURE STRIDE:
 
従来「シェアオフィスに入居しました」というと、「経費切り詰めが必要なのかな」と思ったり/思われたする場合があったかもしれませんが、WeWork入居にはそのような後ろ向きのイメージはありません。それはWeWorkの広報戦略、ハイグレードなインテリア、安くはない費用、などから形作られていると云えるでしょう。
 
インテリア
 
グローバルなデザインチームがあるとのこと。当然ながら物件毎に固有に設計します。WeWorkはそもそも駅直結・隣接、見晴らしのよい高層階、デザイン性の高い建築物、など建物自体のグレードが高い物件しか選んでいません。(だからそもそも費用レンジは高めです。)それらを活かす内装デザイン。ハイデザインが適度な興奮を呼び覚ましますが、ポップとかモダンとかではないです。木目多く、落ち着き感はあります。が、ナチュラル、でもない。あー、つまりコンテンポラリーだ。いわば「toBスタバ」という感じ。
 
個人的には、「Apple Campus」ではないですが、カルチャー的にはそこへ通じるような領域にいるのだ、という感覚を覚えることができそうに思いました。WeWorkに限らず、よい物件にはよい物件としての心理効果はやはりあるかもしれないと思いました。その心理効果はいずれ業務上の数値に表れるやもしれないとも思いました。
 
"How Our Design Team Creates the WeWork Look", WeWork:
 
交流の機会
 
みなとみらいでは、IT系企業は少ないとのこと。デザイン系、士業、出版系、大手企業さんの出張所、などが入居されている様子とのことです。牧野氏の見立てでは、士業にはなかなか向いているのではないか、とのことです。
 
それと、入居者限定SNSがあるのだそうです。このコミュニティがなかなか良くて、アットウェア社員さんは既にこのSNSで問題解決を助けてもらった実績があるとのこと。
 
牧野氏が見学したところでは、拠点毎に雰囲気はだいぶ異なっていて、特記すべきは神宮前では日本じゃないと思ってしまうほど多国籍な人たちが入居されていたそうです。
 
WeWorkのオフィスデザイン受託事業
 
ソフトバンク社はWeWork Japanに出資しています。そのソフトバンク社は本社を竹芝の再開発ビルに移転するそうで、そのオフィスデザインをWeWorkに発注しているそうです。
 
"ソフトバンク、WeWorkデザインのオフィスに本社移転 2020年度", engadget:
 
WeWorkはいわゆる「シェアオフィス」事業以外に、「オフィスデザインの受託」事業を行っているのでした。WeWorkでは「カスタマイズオフィス」と言っているようです。ファシリティのBPOということですね。
 
"カスタマイズオフィスのご紹介", WeWork:
 
これはなかなか面白い展開に思えます。どんな事業領域でも、均一サービスをSaaSとして多数のクライアントさんに提供する事業と、そのSaaSで培われたノウハウをプラットフォームとして再編成し、比較的大口のクライアントさん向けにカスタムサービスを提供するという事業、そしてそれらのハイブリッド、このような事業展開は一つのセオリーなのでしょうね。
 
"定時"が9時-18時
 
ひとつ注意点があります。WeWorkの"定時"が平日9時〜18時だということです。このご時世意見や考えはいろいろあるでしょうが、個人的には18時は早いかなー。入居者は土休日含む24時間入退館はできますが、ゲストは開けてもらわないと入れなくなります。また、時間外の空調が別料金となるらしいです。それに、コーヒー飲み放題も"定時"の間だけだそうです。
 
一番残念なのは、入居者はWeWorkの他の拠点も利用できる(※要追加料金)のですが、これが「18時まで」に限られてしまうとのこと。
 
アットウェア社で働いてみますか?(Monopos社も!)
 
今回訪問させて頂いたアットウェア社は、企業や大学の新規サービス開発やR&Dを多く請けているそうです。受託開発といっても、業務システムでないので、案件毎に異なる技術的チャレンジが数多くあるようです。今回伺って知りました!
 
横浜みなとみらいに位置する、"Apple Campus"かのようなオフィス環境で、新規サービス開発やソフトウエアのR&Dに関わる開発をしてみたい方、ぜひアットウェア社を訪ねてみてください。
 
もちろん、オムニチャネル・プラットフォームで小売の世界を変えたい方は、Monopos社にエントリーしてください!
 
◆以上